やることがたくさんあって、やらなければならないのは頭では分かっているけど、なかなか行動に移せない時ってありませんか? しかもそんな時に上司から「とにかく行動だ!行動するしかないぞ!」なんて檄(げき)を飛ばされるけど、行動ができないから困っているってこともあると思います。

日々マルチタスクをこなさなければならないビジネスパーソン。一体どのようにすれば行動に移しやすくなるのでしょうか。

まず小さなアクションから

実は意外な簡単な方法で解消できるのです。それは、まず小さなアクションを意識的に起こしてみることです。

例えば読書をしようと思ったら、まずは本を開いてみる。すると本を開けば目に文字が映るため、本を読み始める。身体を健康にしたいと思ったら、まずは10メートル歩いてみます。すると、もう少し、あと少しだけ歩いてみようなんてことを思うでしょう。

このように最初の一歩として小さなアクションを起こすだけで持続的に行動することができます。

動き出したら止まらない

心理学用語でも「作業興奮」というものがあります。

作業興奮とは、一度作業を始めると持続的に行動を起こす現象です。人間の脳には、一度動きだすと止まりにくいというメカニズムがあります。人は作業を始めると脳内でドーパミンという神経伝達物質が分泌され、それがやる気を引き起こしてくれます。そして脳は新しい刺激を求めて、やる気が持続するようになります。最初は面倒だと思ったことも、始めてみたら「もうこんな時間か」となったことのある人は多いのではないでしょうか。

このメカニズムを知っているハイパフォーマーなビジネスパーソンは、どんなに面倒なタスクがあっても、まずは取り掛かるようにしています。最初の5分を頑張れば継続できることを知っているからです。やる気があるから行動できるのではなく、行動するからやる気が出てくるのです。

やめてもいいから始める

以前、東大生に聞いた話では「勉強は数時間やらないといけないという認識を改めてみた。まずは5分だけ勉強することに切り替えてみた。5分やってやめてもいいと思ってとりあえず始めてみると、気が付けば何時間も勉強できる」。まさに作業興奮の典型的な例です。面倒だと思ってもアクションをとり続ける人と、無いはずのモチベーションにすがる人には、大きな差が出ることは言うまでもありません。

目の前にあるタスクに、まずは5分だけ手を付けてみましょう。少し投げやりに思えるかもしれませんが、その小さなアクションが大きな結果をもたらしてくれますよ。

 

文:株式会社プログレス 江原忠宏

〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、20年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、41歳。