日産自動車は3月11日、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO、58)が3月末で退任する人事を発表した。後任の社長は商品企画担当役員のイヴァン・エスピノーサ氏(46)が4月1日付で就く。内田社長は2月13日の会見で続投の意思を表明していたが、悪化した業績の責任を取って辞任する。内田社長のほか、坂本秀行副社長(68)、中畔邦雄副社長(61)、星野朝子副社長(64)も退任する。
内田社長と坂本副社長は、6月に開催する株主総会まで取締役を継続する。
内田社長は2019年12月、山内康裕暫定CEO(当時)からバトンを受ける形で社長に就任した。取締役を決めるため同年2月に開いた臨時株主総会では「日産の業績は私と経営層の責任。(再建)できなかったら私のクビを切ってもらっていい」と覚悟を示していた。
20年4月には、スペイン工場の閉鎖などで年間生産能力を720万台から500万台規模に削減する事業構造改革「ニッサンネクスト」を開始。カルロス・ゴーン元会長による拡大路線で悪化した収益性の改善を図り、22年3月期には当期純利益を3年ぶりに黒字化した。
また、ルノーとの交渉の末、23年には日産にとって長年の悲願だった対等な出資関係も実現した。ホンダとの協業検討も経営の自由度が高まったことから始まったものだ。
一方、24年に入ると、会社の業績が再び悪化。供給制約の解消に伴って主力の米国で販売奨励金が上昇したことなどが要因だ。内田社長は9000人のリストラ計画を発表した24年11月の決算会見で「本来の競争環境が戻った現在、課題が浮き彫りになった」と語った。
後任のエスピノーサ氏は、03年にメキシコ日産に入社。18年から商品企画を担当してきた。
(2025/3/11更新)