HRCの渡辺社長は過去のF1用エンジン部品などの販売を検討していることを明らかにした
2025年はレッドブル・グループへの支援体制が最終年を迎える
2026年からのアストンマーティンとの供給で再び栄光をつかめるか

ホンダのモータースポーツ子会社ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、2026年から復帰するF1(フォーミュラワン)世界選手権の活動目標について、「『第5期』と呼ばれないこと」と語った。ホンダは1964年の初参戦以降、景気動向やトップの交代などによって撤退と参戦を繰り返した歴史がある。同社のモータースポーツ活動を一挙に手掛ける事業会社として、独自の新事業も模索し、参戦を継続できる財務基盤の強化に取り組む。

ホンダとHRCは3月4日、F1のシーズン開幕に先立って取材会を開いた。ホンダはこれまで年間王者をはじめ多くの栄光を掴んできたが、リーマンショックなどによる業績の低迷などで、度々参戦方針を改めている。直近の「第4期」(2015~21年)は八郷隆弘前社長が環境対応に向けた技術開発を理由に撤退。その後、23年には三部敏宏社長が復帰会見を開いた。

HRCの渡辺社長は「ホンダの業績が動いた時に持ちこたえられるように、独立したレース会社にしている」と話す。同社は22年から、それまでの二輪に加えて四輪のレース活動も統括する体制となった。独自に収益を確保するため、25年度からは過去のF1用エンジン部品をファンに向けて販売することも検討している。

26年に向けた開発状況については詳細を明らかにしなかったが、すでにパワーユニット(PU)は同年からの新規定に沿ったハイブリッドシステムと組み合わせて机上試験を実施している。来年2月の認可取得の直前まで開発を続ける方針だ。一度、レッドブル・グループに売却した英国の拠点と設備も買い戻し、新たなパートナーとの初勝利に向けた体制整備を進めている。

将来のPU供給先について問われた渡辺社長は「まずはアストンマーティンとのコラボをしっかりさせる。それが落ち着いたら複数に(供給)すべきだとは思うが、まだ検討はしていない」と話した。