武藤容治経済産業相は2月25日、トランプ米大統領が検討している米国への輸入自動車に対する追加関税措置の影響などについて、自動車業界の関係団体トップらと意見交換を行った。日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長は追加関税措置の適用免除に向けて「尽力いただけるよう強く望む」と述べ、武藤経産相は日本政府として必要な対応を図っていくことを約束した。

意見交換は武藤経産相と業界団体トップの発言のみ報道陣に公開され、以降は非公開で行われた。出席した自工会の幹部らからは、米国における各社の状況や追加関税が適用された場合の影響などについて意見が出されたもようだ。

トランプ米大統領は18日、米国に輸入する自動車に対する追加関税措置について、4月にも正式に公表予定とし、税率は「25%前後」と述べた。

現時点で具体的な措置は示されていないが、武藤経産相は「(今後の動向を)注視する必要がある」と述べた。その上で「日本政府としては、自動車産業がわが国の経済の屋台骨を成す基幹産業であることを踏まえ、産業競争力の維持・強化の観点から必要な対応を講じていく考えだ」と話した。

自工会の片山会長は、日本、カナダ、メキシコから米国に輸出した自動車に追加関税が適用された場合の日米経済に及ぼす影響を懸念するとともに「米国政府には、今後の予見可能性が高く日系自動車メーカーが安心して(米国に)投資できる政策など、ビジネス環境を整備していただけることを期待している」と述べた。

加えて、今後は現地訪問などさまざまな機会を通じて「米国の関係者に日系自動車メーカーによる継続的な投資や雇用を通じた米国の自動車産業への貢献をアピールするとともに、追加関税に対する懸念について理解活動を行っていく」(片山会長)ことも明らかにした。

また、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長は、米国の追加関税措置の適用によって生産拠点の米国移転や国内生産の減少など競争力の低下を危惧することなどを指摘。「今回の追加関税の動きが最小限の影響にとどまるよう支援をお願いする」などと要望した。

自動車業界に先立って鉄鋼・アルミニウム業界の関係団体との意見交換会も行った。武藤経産相は「我が国から輸出されている製品は日本の高い技術力でつくられたもので、米国の産業や経済社会にとっても必要な製品だ。米国の方針をどのように受け止めているのか、追加関税によって事業のみならず、取引先の事業や米国社会にどのような影響があるのか、率直な意見を承りたい」と述べた。