林芳正官房長官は2月10日、石破首相とトランプ米大統領による日米首脳会談で、日本製鉄のUSスチールの買収に関して「日米がウイン・ウインになれる大胆な提案があったと承知している」と述べ、日鉄がUSスチール買収に関して新たな提案を示したことを明らかにした。

日鉄のUSスチールの買収を巡ってはバイデン前大統領が在任中、買収禁止命令を出したことから日鉄は禁止命令の無効を求めてバイデン氏などを提訴し、3日から裁判が始まっている。

7日の日米首脳会談後、トランプ大統領は「(日鉄によるUSスチールの)買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」と述べた。投資の内容については明らかになっていないものの、林官房長官は「単なる買収ではなく、大胆な投資で米国や世界が求める優れた製品を生産する」ことを日鉄が提案したとの見解を示した。

日鉄は、USスチールの発行済み全株式を取得して完全子会社化し、鉄鋼需要の成長が見込まれる米国市場に高炉を確保してグループで米国事業を拡大させることを狙っている。ただ、トランプ大統領は9日、日鉄がUSスチールの株式の過半数を保有することはできないとの考えを示しており、日鉄がUSスチールを買収する米国事業の戦略を見直している可能性がある。

一方、トランプ大統領は、米国に輸入されるすべての鉄鋼とアルミ製品にそれぞれ25%の関税を課すことを表明した。日本の製品も対象になる見通しだが、林官房長官は「具体的な内容や日本への影響を十分に精査した上で適切に対応していく」と述べるにとどめた。