乗用車用の新型FCシステム
耐久性を2倍に高めた商用車用FCシステム

トヨタ自動車は2月19日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた「H2&FCエキスポ(水素・燃料電池展)」で、第3世代の燃料電池(FC)システムを初披露した。乗用車だけでなく使用環境がより厳しい商用車への搭載を想定し、耐久性は第2世代に比べて2倍、燃費に相当するエネルギー効率は2割向上させた。小型トラック向けは2026年頃、大型トラック向けは28年頃に供給する計画だ。

水素ファクトリーの山形光正プレジデントは「商用ユースの厳しい目にも応えることができる商品が必要」と第3世代FCシステムの開発背景を述べた。

トヨタは、14年に世界初となる本格的な量産燃料電池車(FCV)「ミライ」を投入。20年には2代目に切り替え、FCシステムも第2世代に刷新。出力を1割高めた上でタンクを含むシステム全体のコストを7割下げた。新型のFCシステムは、セルの設計や製造プロセスを見直すことでエネルギー効率を高めつつ、さらなるコスト低減を図った。

FCシステムはミライだけでなく、トラックやバス、鉄道、定置式発電機用に供給しており、これまで100社以上2700基以上を外販した実績がある。新たなFCシステムでは、建機や発電機向けだと従来システムと同体格で2倍の出力を実現する。大型商用車向けでは耐久性を高めたFCシステムに加えて、高圧気体水素をミライ向けよりも多く充てんできる専用タンクを開発し、規格化することでコスト削減を狙う。

FCスタックを流用した「水電解装置」を、トヨタ本社工場(愛知県豊田市)に設置する計画も発表した。26年に稼働を開始し、最大10メガワット規模とする。29年には大規模水電解装置をグローバルに展開する計画だ。

(2025/2/19更新)