19日に公開した開発中の新型FCモジュール

ホンダは2月19日、2027年度に量産を始める次期型燃料電池(FC)モジュールの開発目標値を発表した。定格出力を現行品の約2倍となる150キロワットに高めるほか、容積1リットルあたりの出力密度を同3倍の0.5キロワットに高める。製造コストは半減し、耐久性は2倍以上にする。自社製品への適用のほか、順次、サンプル出荷を開始し、大型車や定置電源など外部顧客への販売拡大を目指す。

次期型のFCモジュールは、「クラリティ フューエルセル」に搭載した旧型、「CR-V」の燃料電池車(FCV)に搭載する現行型に続く第3世代品。次期型が開発目標値をクリアできれば、第1世代と比べコストは6分の1以下、耐久性は4倍以上に向上することになる。

特徴的なのは出力密度を3倍に高めたこと。次期型モジュールのサイズは幅730mm、奥行き580mm、高さ700mm。同じサイズで出力を高めたことで、積載効率が求められる大型車にも搭載しやすくなった。現行品は乗用車への搭載を前提とした設計だったため、欧米の大型トラックに搭載する際に3~4基のモジュールが必要だったという。

次期型では、開発と生産体制も見直す。現行型はゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発し、GMとの合弁工場で生産している。次期型は自社開発し、真岡工場(栃木県真岡市)で生産する。現状では市場規模が小さいため、GMとコスト分散してきたが、30年前後にかけて市場が拡大するとみて、単独で開発・生産する。

ホンダは30年に定置用なども含めてFCモジュールの年間販売台数を6万基規模に、30年代後半に年間数十万基に引き上げたい考えだ。