トーヨータイヤは中国工場を売却する。14日、現地生産子会社の「通伊欧輪胎張家港(TTZ)」の株式のうち86%を地場企業に譲渡すると発表した。現地生産に加え、中国での同社ブランドタイヤの販売も順次、終了する。これにより年間40億円規模のコスト改善を見込む。約15年にわたり展開してきた中国市場から事実上、撤退する。
現地で同社ブランドタイヤの販売を手掛けるリャオニン・ヘンダシェン・インベストメントにTTZ株式の86%を売却することを決め、基本合意書を締結した。28日に株式譲渡契約も結び、6月30日に実行する予定だ。譲渡価格は非公開。将来的には全ての株式を手放す。
同社は2010年にTTZを設立し、11年には米国に次いで2カ所目となる海外生産拠点として、乗用車・小型トラック用タイヤを生産する中国工場を稼働させた。年間200万本を生産し、現地シェアを高める狙いだったが、地場系メーカーとの激しい価格競争で赤字が慢性化。近年は日本やアジア、豪州などへの輸出拠点として活用し、現地生産の意味合いが薄れていた。今後、同工場の生産分は日本とマレーシアでの生産に切り替える。