パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS、永易正吏社長、横浜市都筑区)は新たな経営計画を今年上期中にも策定する。車室空間事業やソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)対応で成長シナリオを描き、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を通じた開発や生産体制の効率化で収益体質も強化する。2029年までをめどに新規株式公開(IPO)を見込み、調達資金でさらなる成長を目指す。
PASは昨年末、米投資ファンド傘下の経営に移行した。これまでは、パナソニックグループと歩調を合わせて業績や経営方針を説明してきたが、米アポロ傘下の新体制になったことから、独自の経営計画を打ち出す。永易社長は「クルマのSDV化や電動化に焦点を当て、特にコックピット関連領域でトップを目指す。新たな移動体験価値を提案していく」と語った。得意とするサイバーセキュリティ領域の強化や、サービス事業者らとのパートナーシップなどで新たな車載部品のニーズを開拓することも盛り込む方針だ。
開発や生産体制も効率化する。すでに国内工場では生産リードタイムを半減させた。今年中には海外工場にも展開し、グローバルでリードタイムの短縮にめどをつける。在庫管理の効率化などにも取り組み、キャッシュフローを改善させる。
新たな経営計画の進ちょくをにらみつつ、29年までをめどにIPOを目指す。調達資金を成長投資に充てる。IPOの際、社名を変更することも「選択肢の一つ」(永易社長)としている。ただ、パナソニックググループが持つ家電や人工知能(AI)関連などの技術力は引き続き、活用していく。
永易社長は「筋肉質で収益力の確保できる企業として、成長戦略をしっかり描いて、示していきたい」と語った。