MaaS事業者や観光事業者向けに売り込んでいく

 パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS、永易正吏社長、横浜市都筑区)は自動車メーカー向け以外の車載機器事業やサービスを開拓する。移動型の多目的ルームや専用のAV(音響・映像)機器などを開発し、MaaS(サービスとしてのモビリティ)事業者や観光事業者など向けに数年以内の事業化を見込む。PASは昨年末、米投資ファンドのアポロ・グループ入りした。経営の機動性を高めると同時に収益源を多様化し、将来の上場を目指す。

 移動しやすく、設置場所を問わないマルチパーパス(多目的)ルームを開発した。トレーラー型で、送電網につながっていない「オフグリッド」でも活用できる。まずは「美容室」「仮眠スペース」「エンターテインメントルーム」をラインアップ。訪問美容など移動型サービスを手掛ける企業に売り込む。

 また、「WELL Cabin」と名付けたシステムも開発した。没入感が味わえる映像や音楽を提供するため、大型ディスプレーや高性能の音響システムを配置。映像や音に合わせシートが振動する仕組みもとり入れた。例えば、スポーツ観戦に向かう観客向けの車両に提供したり、仕事の効率化とくつろぎの空間を両立した移動型オフィスとしての用途を見込む。

 このほか、法人向けにタブレットやスマホ用カーナビアプリ 「ゴリラーダプロ」を開発した。設備類の保守点検や営業などに車を使うドライバー向けソリューションで、住所がない地点もピンポイントで登録でき、登録地点を全ドライバーで共有できる。管理者もパソコンでドライバーの位置情報をリアルタイムで把握できる。

 PASの永易社長は「パナソニックグループと理念を共有しつつ、迅速な経営を進める。『toC』を視野に入れた『BtoB』を強化したい」と語った。