グループ各社は攻めの姿勢を打ち出す(デンソー)

 トヨタ自動車の2024年世界販売が5年連続で首位となることが確実となった。認証不正による生産停止もあったが、足元では挽回生産による高水準な生産が続く。トヨタが部品メーカーとともに完成度を高めてきたハイブリッド車(HV)も好調で、25年は1千万台超(レクサス車含む)の生産を計画する。トヨタが高水準な生産を見込む中、グループ各社も電動化部品の工場新設や、インド市場への投資を加速させるなど、将来を見据えた〝攻め〟の姿勢を打ち出す。

■挽回生産の中、国内の電動化投資が進む

 24年は、グループ各社で相次いだ認証不正や品質問題によるリコール(回収・無償修理)などで生産停止が相次いだ。一方で、現場の課題を洗い出す〝足場固め〟も進み、足元では挽回生産のフェーズに入っている。25年はトランプ次期米大統領が打ち出す通商政策の影響や、地場メーカーが台頭する中国市場の減産リスクなどもはらむが、HVの需要増や新型車投入で高水準な生産を計画する。

 こうした中、トヨタグループ各社は将来に向け、車両の電動化や知能化に投資を振り向ける。25年に竣工を予定するのは、愛三工業の安城新工場(愛知県安城市)だ。電動化製品や水素関連製品を生産する同工場は、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)工場を目指す。デンソーは、愛知県西尾市で大規模統合電子制御ユニット(ECU)を生産する工場を新設し、28年に稼働させる。

■インドでは新工場や合弁会社の設立が続く

 成長市場のインドでは、トヨタグループ各社の投資が相次ぐ。豊田合成は、インド北部のエアバッグ工場を拡張したほか、南部では新工場を26年に稼働させる。ジェイテクトも27年にグジャラート工場を新設する。中央発條は現地で精密ばねの合弁会社を設立、コントロールケーブルでも合弁設立へ協議を始めた。

 インドでは、マルチスズキやトヨタの増産対応に加え、タタ自動車やマヒンドラ&マヒンドラなどへの拡販も商機となる。ティア1(一次部品メーカー)のインド進出を受け、あるティア2(二次部品メーカー)の首脳も「現地の見学を検討するなど前向きに考えている」と明かす。「凌(しの)ぐ年が数年続く」(トヨタの宮崎洋一副社長)といわれる中国市場の不振を補う〝救世主〟として、インド市場の存在感が高まりつつある。

 もっとも新興国の自動車需要が伸びる一方で、世界的な電気自動車(EV)シフトの先行きは不透明だ。トヨタは26年に150万台としていたEV販売計画を生産ベースで100万台程度になると部品メーカーに伝えた。製品軸と地域軸でどのような成長戦略とリスク回避策を描くかが問われる1年となりそうだ。