2025年の整備業界は自動車技術の高度化に対応した技術情報や機器、人材などの充実に向けた取り組みが進みそうだ。24年は特定整備制度の経過措置が3月末で終了し、10月に自動車検査でOBD(車載式故障診断装置)検査が始まった。電子制御装置の搭載車両も増えており、車両のサイバーセキュリティー対策で正規ディーラーしかできない整備作業も増えている。業界全体の円滑な整備の提供に向け、これらへの対応が急務になっている。

 OBD検査では、先進運転支援システム(ADAS)に関わる安全系の特定DTC(故障コード)の検出が認められた。適切な整備にはスキャンツール(外部故障診断機)が欠かせないが、複数ブランドに対応する汎用ツールでは作業できない車両も増えている。国土交通省ではこれらに対応するため、メーカー純正機の流通促進とともに、汎用機の機能向上に向けた議論を進めて対応を図る。適切な技術情報やツールを整えることで、高度化に対応した人材育成にもつながるとみられる。

 こうした事業環境の中で、整備事業者に求められるのはコンプライアンス(法令順守)の徹底だ。よりレベルの高い技術情報を手に入れるためには、適切な管理体制の構築が大前提になる。自動車業界のコンプライアンスは、世間の関心が高まっている。整備事業者が信頼を獲得していくためにも、ますます重要となるテーマになりそうだ。