樹脂の再資源化に対する関心も高まっている
今年の自動車リサイクル業界は、これまで難しかった樹脂やガラスの再資源化に向け大きな一歩を踏み出すことになりそうだ。政府は2026年に、樹脂やガラスを回収するリサイクル事業者を対象にした「資源回収インセンティブ制度」を開始する計画。これに向け、破砕機など必要な設備投資を進める事業者が増える可能性がある。自動車メーカーでも新車の生産において、再生材の活用範囲を広げる機運が高まっている。リサイクル事業者にとって、飛躍につながるチャンスになるのは間違いない。
使用済みの樹脂やガラスはこれまで、回収にかかる手間の多さや資源としての買い取り価格も低いことから、自動車シュレッダーダスト(ASR)として処理されてきた。このままでは再資源化率を高めることが難しいため、政府は新制度の導入で対応を急ぐ。これをきっかけに、リサイクル業界でも新たなイノベーションが生まれる可能性も出ている。
一方、業界を取り巻く環境は厳しいまま。ここ数年の円安を背景に、かつてならば使用済み自動車になる車両も、中古車として輸出が活発になっており、仕入れ競争が激化している。NGP日本自動車リサイクル事業協同組合の小林信夫理事長は、「行き過ぎた円安が続いており、25年は少しでも円高に振れてほしい」と、期待を寄せている。