32型高性能車載用ディスプレー

 ジャパンディスプレイ(JDI)は3日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業系のディスプレーメーカー、イノラックス(群創光電)や、同社の子会社で車載ディスプレーを手掛けるシンガポールのカーユーエックスと、戦略提携契約を結んだと発表した。JDIが注力する新技術の事業化を図るもので、その第1弾となる製品も発表した。

 提携するのは、次世代の有機EL「eLEAP(イーリープ)」。従来品に比べ輝度を2倍、寿命を3倍に引き上げ、スマートフォンや車載などでの活用を見込んでいる。

 今回の提携では、「2社のケイパビリティーを生かして世界中の顧客にイーリープを届け、イーリープのグローバル・エコシステムを構築する」と、JDIのスコットキャロン会長CEO(最高経営責任者)は提携によるグローバル展開に意欲を示した。

 手始めとして、イーリープとともに、新しいバックプレーン(基板)技術も活用して、32型の高性能車載用ディスプレーを開発した。共同で市場を開拓する予定で、今後、さらに商品群を拡充していくことになりそうだ。

 イーリープをめぐっては、中国安徽省での事業化を目指したものの、パートナーである蕪湖経済技術開発区と最終契約締結に至らず、白紙に戻るなどした経緯がある。

 今回、「アセットライト」を掲げるJDIとしては、生産設備への多額の投資に踏み込まない形。また、米トランプ次期政権が中国からの製品に高い関税をかける方針を示していることから、中国での生産を避けることが結果的に得策になる可能性もありそうだ。