ルネサスエレクトロニクスは31日、主力の自動車向け半導体を減産する方針を明らかにした。コロナ禍が明け、供給が正常化したことで逆に在庫がだぶついている。同社は減産を進めるとともに、甲府工場(山梨県甲斐市)の量産開始時期も見直す。SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の量産も見直し、まずは研究開発に重点を置く。柴田英利社長は「自動車を中心に納入先の(半導体の)在庫調整が加速する可能性がある」としており、需要回復は現段階では見通せない状況だ。
同社が31日発表した7~9月の連結業績は半導体需要の減少で売上収益が前四半期と比べて3.8%減となった。このうち、自動車向けの売上収益は2.6%減、営業利益率は2.3㌽低下して30.6%だった。
コロナ禍での車載半導体不足を受け、自動車メーカーやティア1(一次部品メーカー)は半導体の在庫を大幅に積み増した。このため、需要の低迷とともに「在庫の適正化も遅れた」(柴田社長)という。10~12月期は当初予想よりも販売が10%程度、落ち込む見通しで、半分が自動車向けとなる。日欧で需要が想定を下回る見込みだ。