作業と同時に「おクルマ安心シート」を作成しラインで送信する
オプションの中でも人気があるのは無水ワックス洗車やエンジンオイル交換という
向井社長(写真右)と八木係長

 トヨタカローラ香川(向井良太郎社長、高松市)は、第3回CSP大賞の「自動車ユーザー連携賞」を受賞した。法人企業の福利厚生の一環として、従業員の自家用車を就業時間中に駐車場で日常点検をする「スマートメンテ」の活動が評価された。同社では「香川県を『正しい状態で走るクルマが一番多い県』にする」という思いの実現、そして移動の活性化に向けて取り組む活動の一つと位置付ける。

 同取り組みは、同社に在籍するエンジニアが導入企業の従業員のクルマを点検し、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で所有者にクルマの状態を写真とコメントで説明し、必要な整備を提案する。オプションでオイル交換や洗車などのメニューも設定した。

 すでに導入済みの法人企業の利用者からは「就業時間中にオイル交換ができることがありがたい」「数値や画像で説明があるため分かりやすい」「車検の時期が迫っていることを忘れていたため助かった」「無料で点検を受けられて社長に感謝している」などという声があがっているという。

 導入企業はCSP大賞応募当時から着実に増加している。法人企業としては福利厚生の充実により社員満足やリクルートにも活用しやすいなどのメリットがある。また、同社と法人企業が共同で試乗イベントなどを行うことで集客や企業価値の向上につなげているケースもあるという。

 CSP大賞受賞の知らせの前後から同社店舗の営業、フロアスタッフ、エンジニアなど職種に関わらず「スマートメンテへの関心を持つスタッフが増えた」と同事業をメインで担当する春日店の八木謙悟係長は実感する。店舗での説明会の実施希望や個人的に説明を求められる機会、スマートメンテに携わりたいというエンジニアも増加したという。結果として「部署をまたいでコミュニケーションを取る機会が増えた」(同)。さらにスマートメンテだけでなく新規事業全体として、昨年1年間で45台の販売のほか、メンテナンス入庫にもつながり、数字にも表れ始めている。八木係長は「今は導入企業を1社でも増やし、早期に仕組み化を目指したい」と話す。

 今後について向井社長は「地域の価値創造策を打ち続けていくことが生き残り、発展には欠かせない」と強調し、〝町いちばんのモビリティプラットフォーマー〟を目指し、同社のブランディングを強く打ち出し続けていく方針だ。