損害保険業界の構造的課題を話し合うため金融庁が設置した「有識者会議」(座長・洲崎博史同志社大学大学院司法研修科教授)の3回目の会合が24日開かれた。損保大手4社による法人向け共同保険料の価格調整(カルテル)問題についての議論が交わされた。共同保険で大きな影響力を持つ「企業内代理店」の自立を促すため、規制の見直しや立場の明確化を求める意見が出た。

 企業内代理店は、ある企業と密接な資本・人的関係がある保険代理店のこと。企業グループ全体の保険契約を取り扱う。親会社の入札や見積もり合わせを企業内代理店が実質的にコントロールするケースがあり「健全な競争を歪めている」とも指摘される。

 また、保険契約を結ぶ企業のグループである一方で損保側の保険を売る代理店でもある。企業グループとしては安く契約を結ぶ必要があるが、保険手数料を多くもらうために保険料を高く維持した方が有利で「利益相反」の面もある。

 代理店の自立を促す観点から密接な資本・人的関係にある企業の契約を一定程度(30%以下など。50%超は法に抵触の恐れ)に抑える「特定契約比率規制」がある。ただ、特定契約の対象となる保険や法人に含まれないものもあり、抜け穴になっている。この比率などを見直したり、撤廃したりするべきだとの意見がメンバーから多く出た。これによって自立を促し、立場を明確にすることを狙う。

 また「火災保険の赤字が続いているのは、自動車保険で儲けているからではないか」との意見も出た。

 井林辰憲・内閣府副大臣(金融担当)は「なぜこれらの問題が業界内で改善されてこなかったのかが問題。保険は公共性が高いのでより良い業界になるきっかけになってほしい」と最後にあいさつした。

 4回目の会合は6月7日の予定。金融庁は6月末までに報告書をまとめる方針だ。