さまざまな車型やパワートレインに展開する(燃料電池トラック)
日野が提唱する「標準電池」(銀色部分。白色部分はシャシー)

 商用車に用いる車載電池の標準規格を日野自動車が提唱し、国内3社などと共通化に向けた議論を進めていることが23日までに分かった。車載電池のコストを一気に下げ、効率的な電池の再利用や再資源化などを狙う。車両と電池を切り分ける「車電分離」により、電池交換式を含む電気トラック(EVトラック)を輸送事業者が導入しやすくなる効果も見込む。2030年頃の普及を目指す。

 日野が提唱する「標準電池」の寸法は長さ150×幅70×高さ30㌢㍍。容量は70㌔㍗時で、急速充電にも対応する。低床車両向けに、より薄型の寸法規格も構想している。再利用や再資源化しやすくするため、電池パックに組み込まれることが多い制御や充電などの周辺部品は外付けにしている。

 同社はこの標準電池を1~6個組み合わせ、小型車から中・大型車までさまざまな車型に用いていく考え。発電用エンジンを搭載したプラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)にも搭載する。

 自社で開発や利用を進める一方で、経営統合を予定する三菱ふそうトラック・バスやいすゞ自動車、UDトラックスの同業他社や電池メーカー、米アンプルなど電池交換サービス事業者と共通化の議論を進めている。

 電池の寸法や性能、インターフェースをそろえることができれば開発や調達にかかるコストが大幅に下がる上、定置用電池として再利用しやすくなったり、再資源化の工程を機械化しやすくなる。また、車載電池分を除いて車両を割安価格で販売し、電池の使用料をユーザーから別途、徴収する事業モデルも実現しやすくなる。

 商用車は乗用車と比べて生産台数が少なく、電動化の追加コストを量産効果で吸収しにくい。生産財のため、コストや充電時間などに対する要求も厳しい。日野としては、基幹部品である電池を標準化し、商用電動車の早期普及や資源循環型社会を目指していく。