辰巳屋興業では、色味の違いを比較することで、分かりやすく訴求した
ブレンボ・ジャパンのブースでは、4色のブレーキキャリパーを展示した
大和産業のコンソールボックス(右側)
栄和産業は、アンケートで開発商品のカラーを決める
洗車クロスなどでも、カラーの豊富さをアピールする動きがみられる

 7日に閉幕した見本市「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2024」では、〝カラー〟に焦点を当てたカー用品の出展が相次いだ。内外装のアクセサリーだけではなく、ブレーキなど重要保安部品にも及ぶ。性能やデザインが同じような製品でも、色味を変えると愛車の印象を大きく変化させることができる。各社は競合製品との色の違いや種類の豊富さを差別化のポイントに位置付けている。これを来場者にアピールすることで、多くのユーザーの関心を集めていた。

 市販用パーツ類を手掛ける各社は、機能面で純正品や競合品と差をつけた製品づくりに力を入れるところが多い。こうした商品は、車の知識が豊富な愛好家などに支持される半面、一般客には理解されにくい側面がある。そこで、一部のメーカーなどでは色味を含め、誰しもが分かりやすいデザインに特徴を持たせることで、顧客層を広げる動きがみられている。今回のIAAEでも、こうした展示物が目立った。

 その一つが、ブレンボ・ジャパン(アレクサンダー・グラマティコフ代表、東京都港区)だ。ブレンボのブレーキはプロのレースでも多くの車両に採用され、市販品でも高いブランド力を有している。それでも、同社は水色や黄色など、カラフルな塗装を施したブレーキキャリパーを展示した。愛車のドレスアップ目的での購入を想定したもので、欧州車の一部に対応している。

 同社の取り組みの背景には「一般にも市販のブレーキキャリパーとしての知名度を高めたい」(担当者)との考えがある。車いじりが趣味のユーザーには広く知られているものの、あまり機能に詳しくはないビギナー層には響きにくい。このため、コンセプトカラーを用いた製品を含め、多彩な製品をブースに並べることで、来場者の目を引き付け、一般客の開拓に力を入れていた。

 灯火類でも色味の違いをアピールする動きがみられた。辰巳屋興業(櫨巳芳社長、名古屋市昭和区)は、独自ブランドの「レーシングギア」から、電球色に光るヘッドランプおよびフォグランプのLEDバルブを紹介した。市販用LEDは白色で光るものが多いものの、これを苦手としているユーザーもいる。同社ではこうした声に注目し、明るさを維持しつつ、色合いを変更した製品を開発した。純正でハロゲンバルブを装着している年式の古い車両からの交換需要の吸収を目指す。カスタム用途だけではなく「検査基準が厳しい、車検の対策になる」(担当者)効果も期待できるという。

 LEDライトを搭載したコンソールボックスのコンセプトモデルをアピールしたのは、部品商社の大和産業(増淵恭代表、東京都港区)。ドリンクホルダー部などに、赤色や青色に光るライトを取り付けた。担当者によると「女性ユーザーなどの間で、デザインにこだわった照明製品のニーズが増えている」(担当者)ことから、開発したという。会場では、取引先企業に向けて特徴などを説明し、販売増に取り組んでいた。

 市販用品を求めるユーザーによっては、好みのカラーの有無によって、購入の是非を決めることもある。そのため、どのような色に人気があるのかを調査することも、拡販には重要な要素となる。今回のIAAEでも、フロアマットを手掛ける栄和産業(三浦洋樹代表、大阪府豊中市)が、開発予定の製品の色についてアンケートを実施していた。

 IAAEではアフターマーケットの関連企業が多く集まる。こうした場を利用して得られる情報も多いため、次回以降も、情報発信や意見交換の場としての積極的な活用が見込まれそうだ。

(後藤 弘毅)