2023年度は5年ぶりに年間10万台を超える見通し

 三菱自動車は、2024年度の国内販売計画を約12万台と決め、このほど系列販売会社に伝えた。実現すれば2013年度以来、11年ぶりの高い水準になる。燃費不正によるブランドの毀損やコロナ禍、半導体不足でこのところ10万台を割り込む水準が続いていたが、23年度は5年ぶりに10万台超の見通しが立った。受注が好調な「デリカミニ」や「トライトン」の新型車効果を生かし、新年度はさらなる拡販を目指す。店舗改装などの投資も支援するなどし、減少が続いていた保有基盤を早期に底入れさせて反転攻勢を目指す。

 24年度は主要車種を全面改良する予定はないが、トライトンの納車が本格化するほか、積極的な商品改良で既販車の販売をテコ入れする。目標を達成すれば、23年度の見込み値に対して約1割の増加となる。

 三菱自の国内新車販売は、燃費不正が発覚した16年度に約8万台にまで減少した。18年度に10万台に回復したが、19年度以降は生産制約の影響もあり、10万台に満たない水準が常態化していた。保有台数もジリジリと減少し、販社にとっては厳しい経営環境が続いていた。

 ただ、23年度はデリカミニの新型車効果などで販売が好調に推移する。年度内に予定していた納車が来年度にずれ込む場合もあるが、現時点では11万1千台程度を見込む。2月までの11カ月間では約9万5千台を販売した。このペースで推移すれば、23年度はスバルを抜いて乗用車ブランドで17年ぶりに最下位を脱する可能性もある。

 三菱自は、デリカミニやトライトンにとどまらず、中長期的に「三菱自らしい商品」を国内市場に投入していく方針だ。保有の減少に歯止めをかけ、販社の経営を安定化させるとともに、店舗への投資支援も積極化し、国内の販売力強化を図る。