アルプスアルパイン(中国)のヘッドオフィス(北京市)が入るビル

 アルプスアルパインは、中国でソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)向け製品の開発を急ぐ。現地の短期開発ニーズに応じられるよう、開発拠点間や現地合弁会社との連携を強化する。同社の中国事業は主に日米欧の外資系自動車メーカー向けが中心で、電気自動車(EV)や地場系メーカーの台頭で苦戦している。このためSDV対応を強化し、中国発の製品を世界展開することも視野に入れて巻き返しを図る。

 まず、同社と中国の東軟集団(ニューソフト)が設立した合弁会社「東軟睿馳汽車技術(ニューソフトリーチ)」との連携を強化する。受託開発やサプライチェーン(供給網)の強化、ニューソフトリーチ経由で地場系メーカーへ製品を売り込むなどの具体策を協議している。

 アルプスアルパインが中国の大連や上海、無錫に持つ技術開発拠点の連携も強化する。2019年の経営統合後も、日本からの開発を委託する形で旧アルパインの拠点ではサウンドやディスプレーといった車載インフォテインメント(IVI)システム製品を、旧アルプス電子の拠点はセンサーや通信などの製品をそれぞれ開発している。

 今後は両拠点を連携させた上で、ニューソフトリーチも交えて地場系メーカーに売り込める技術や製品を短期開発していく考えだ。こうした開発成果を世界展開することも視野に入れる。

 同社の今期連結業績は売上高9570億円(前期比2・6%増)、営業利益は165億円(同50・9%減)、当期損益は350億円の赤字(前期は115億円の黒字)の見通し。不採算事業の整理を加速させる一方、SDV対応を含めて高付加価値化を進め、巻き返しを目指す。