マツダのメキシコ工場
取材に応じる毛籠勝弘社長兼CEO
日本から輸出するラージ商品群の「CX-90」

【サラマンカ市(メキシコ)=織部泰】米国での電気自動車(EV)の需要鈍化やトランプ前大統領の再選の可能性などが、自動車メーカーの戦略に影響を及ぼし始めている。マツダの毛籠勝弘社長兼最高経営責任者(CEO)は、EVや「ラージ商品群」の生産について、メキシコ工場(グアナファト州サラマンカ市)では2027年まで現地生産を行わない考えを示した。北米はマツダにとって最重要市場だが、米国とメキシコでは大統領選挙を控えており、通商政策が大幅に見直される可能性がある。加えてEVの需要予測が見極めづらいことも、今後の北米事業の舵取りを一層難しくしている。

24日(現地時間)、同工場で日刊自動車新聞などの取材に応じて答えた。また、発表済みの30年までの長期ビジョンの中で、電動化の移行期にあたる「フェーズ2」(25~27年)の計画について、今年3月までに商品の投入計画をはじめとした具体的な内容を詰めていくことも明らかにした。メキシコ工場でのEVやラージ商品群の生産については、2028年からの「フェーズ3」で検討する。

マツダの23年の北米新車販売台数は約50万台。グローバル販売の37%(23年3月期)を占めるなど、地域別の販売台数でも最多の市場だ。現在、メキシコ工場では「マツダ3」「マツダ2」「CX-3」「CX-30」の4車種、米国工場では「CX-50」を生産している。一方、電動車やラージ商品群の車両は、日本から輸出している。