ゼロシリーズのフラッグシップ「SALOON」と三部敏宏社長
フレキシブルな空間が特徴の「SPACE-HUB」
「SALOON」はスーパースポーツのような流線形と大きく張り出したリアタイヤハウスが特徴
ソフトの更新で、より個人の嗜好に沿った車内空間を目指す

 【米ラスベガス=中村俊甫】世界最大のテクノロジー展示会「CES2024」が米ラスベガスで現地時間9日に開幕した。ホンダは、新たなグローバル電気自動車(EV)「ホンダ 0(ゼロ)シリーズ」を現地で発表した。2026年からの市場投入を予定しており、フラッグシップの「サルーン」を皮切りに、EV専用の共通プラットフォームで複数の車種を世界で展開し、40年の全新車ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)化の足かがりとする。

 新シリーズについて、同社は「ホンダの原点に立ち返り、新たな価値の創造に取り組む」「環境負荷や交通事故死者ゼロを目指す思いを込めた」とする。

 EV市場で先行する米テスラや比亜迪(BYD)などを追い上げるため、ゼロシリーズでは「シン(薄さ)、ライト(軽さ)、ワイズ(賢さ)」を開発コンセプトに掲げた。大容量バッテリーを搭載する「厚くて重たい」EVのイメージを刷新するため、フロア高を抑えた設計を用いるとともに、ハイブリッド車(HV)などの走行データを活用したバッテリー制御技術で航続距離を延ばす考えだ。軽量・高密度な電池パックやエネルギーの変換効率に優れたeアクスルなどを組み合わせ、電池の搭載量を抑えつつ、300マイル(約482キロメートル)以上の航続距離を実現する。20年代後半には、15分程度で15~80%の急速充電の実現や、10年後のバッテリー劣化率を10%以下とすることを目指す。先進運転支援システム(ADAS)やコネクテッド技術も最新版を搭載し、安全性と利便性をより高める。

 ゼロシリーズの投入に合わせ、同社はエンブレムも刷新する。電動事業開発本部長の井上勝史執行役専務は「今回の動きを第2の創業だと考えている」と説明した。

 CESでは4~5人乗りを想定する「サルーン」とミニバンサイズの「スペース―ハブ」の2車種を出展。サルーンは流線形のデザインと大きく張り出したタイヤハウスが特徴的だが、デザインを微修正した上で「ほぼこのまま量産していく。驚きを世の中にそのまま出していく」(ホンダ)考えだ。