【5位】自動車メーカーでトップ交代相次ぐ

2023年は自動車メーカーのトップ人事が相次ぎました。トヨタでは、14年にわたり社長を務めた豊田章男氏に代わり佐藤恒治氏が新社長に就任しました。スバルは開発畑の大崎篤氏が社長に就任、電動化対応を推進していきます。マツダはマーケティングや米国法人社長の経験がある毛籠勝弘氏が新社長に就任しました。いすゞも8年ぶりにトップ交代し、新社長兼COOに南真介氏、片山正則氏は会長兼CEOと、ツートップ体制を構築しました。

 

【4位】日野と三菱ふそうが経営統合で合意

2023年は商用車業界でも大きな動きがありました。トヨタグループの日野自動車と、ダイムラーグループの三菱ふそうトラック・バスが経営統合に向けて基本合意しました。トヨタとダイムラー・トラックが持ち株会社を新設し、2社を傘下に入れます。持ち株会社の出資比率は同割合とし、日本で上場。これに伴い日野はトヨタの連結子会社から外れる見通しです。2024年末までに統合完了を目指します。

新会社では、開発・調達・生産領域で協業します。また、トヨタとダイムラーは水素をはじめ商用車向け次世代技術開発でも協業します。今回の統合により、国内商用車メーカー4社は、いすゞ自動車・UDトラックス連合と、日野・三菱ふそうに二分されることになります。

 

【3位】ジャパンモビリティショー開催

東京モーターショーから名称を一新した「ジャパンモビリティショー2023」(日本自動車工業会主催)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されました。コロナ禍での中止を経て4年ぶりの国際ショーとなった今回は、気候変動から移動制約者対策まで、世界が抱える課題をモビリティの新技術でいかに解決するのか。自動車・部品メーカーと他産業やスタートアップといった「新たな仲間」が手を携え、未来のモビリティ社会を会場で提示しました。今回は前回の約2.5倍となる475社・団体が出展し、最先端の技術を披露。11日間で111万2千人が来場しました。

 

【2位】次々と問題が判明したビッグモーター

自動車業界にとどまらず社会的にも大きな話題となったのが、自動車保険の不正請求問題が発覚したビッグモーターです。不正請求だけでなく不正車検や街路樹の違法伐採など、次々と問題が判明。沈黙を続けてきた同社ですが7月に都内で会見し、創業者の兼重宏行社長が初めて公の場に姿を現しました。兼重社長と、長男の宏一副社長が退任し、和泉伸二専務が社長に昇格しました。

保険金不正請求問題は損害保険会社の責任も追及される事態に発展。ビッグモーターとの取り引きが多い損害保険ジャパンは、不正を知りながら取引再開を主導したとして白川儀一社長が引責辞任の表明に追い込まれました。

様々な不正の発覚で、売り上げの大幅減をはじめ、店舗の閉鎖や従業員の離職、損害保険代理店登録を取り消す行政処分などが続き、業績が急速に悪化しているビッグモーターですが、伊藤忠商事と子会社の伊藤忠エネクス、独立系投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズの3社連合が買収を検討すると発表しました。事業再建の検証に向けてデューデリジェンス(資産査定)を2024年春まで行い、買収するかどうかを決定します。

ただ、ビッグモーターは現在も兼重親子が株主の資産管理会社「ビッグアセット」の100%子会社です。伊藤忠側は兼重親子の影響力排除を買収の条件としており、兼重親子がどのような決断を下すのか、今後の行方に注目が集まっています。

 

【1位】ダイハツで認証試験不正が発覚

2023年の電子版で最も注目を集めたのが、ダイハツ工業の認証試験不正です。12月20日に、国内外64車種と3エンジン(生産終了モデル含む)を対象に25の試験項目で174個の不正が判明し、全車種の生産・出荷停止を発表。ユーザーをはじめ、仕入れ先や販売会社など自動車業界に衝撃が走りました。

発端は23年4月に発表した、海外で生産・販売する車両4車種の側面衝突試験の認証申請での不正行為です。その後、5月には「ロッキー」とトヨタにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ライズ」のハイブリッド車で、ポール側面衝突試験に関する認証手続きでの不正行為も判明。外部の専門家3人で構成する第三者委員会で全容解明に向けた調査を開始し、12月20日に公表しました。

国土交通省は12月21日、ダイハツ本社に立ち入り検査を実施。また、国交省と自動車技術総合機構で、全ての現行生産車の基準適合性について技術検証を行います。

今回の不正によりダイハツは、1月末までの生産停止を決定しましたが、生産再開のめどは立っていません。これを受けてダイハツでは従業員の休業期間中の給与や、仕入れ先の損失補償を行う方針です。親会社のトヨタもダイハツの資金繰りが悪化した場合は融資を行う方針を示しています。

今後の動向は、国交省の調査結果次第となります。調査結果によっては型式が取り消される可能性もあります。一方で国交省は、現行生産車の基準適合性を確認した車種から順次結果を公表する方針を示しています。ユーザーの不安を速やかに払しょくするとともに、安全性が確認された車種から出荷再開できれば、サプライチェーンや販売現場への影響を抑制することにもつながります。

(2023/12/31修正)