タダノは6日、世界初の電動ラフテレーン(自走式)クレーン「EVOLT eGR―250N」をタダノ香西工場(香川県高松市)で国内初披露した。8日には世界に先駆けて日本で発売する。販売価格(消費税込み)は1億6280万円。年間20台の販売を目指す。
日本で最も需要が多い吊り上げ性能25㌧級で、車体には最大出力97㌔㍗(約132馬力)、最大トルク2500ニュートン㍍の高出力モーターを2基搭載して加速性能を高めた。ギア変速時のショックがなく、スムーズに走る。最高時速は49㌔㍍。
容量合計226㌔㍗時のリチウムイオン電池を搭載する。稼働の目安として、例えば約5時間のクレーン作業をこなした場合、航続距離は約42㌔㍍。クレーン作業だけだと約11時間、走行のみでは約70㌔㍍走るという。急速充電を用いると約2時間半でフル充電できる。CHAdeMO(チャデモ)規格に対応させた。
電動化により走行時やクレーン作業の騒音も減らした。従来モデル「GR―250N」と比べ、定常走行時の騒音は78 デシベル から71 デシベル 、クレーン作業時は104 デシベル から94 デシベル にそれぞれ下がったという。稼働や走行時の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにするだけではなく、静粛性の向上により建設作業現場の環境改善にも寄与する。
会見で氏家俊明社長は「フル電動は初めてで、新たに世界に市場を送りだせることをうれしく、誇りに感じている。50年後の未来がどうなるか分からないが、本製品を皮切りに、脱炭素、地球環境の保全に貢献することは使命だ」と語った。同社は引き続き、海外向けクレーンや高所作業車、クローラークレーンなどの電動化を進めていく。
(2023/12/8修正)