2027年に投入する第3世代の「X in 1」型eアクスル

 アイシンは、電気自動車(EV)用の駆動システム、「eアクスル」に車両統合制御機能を組み込んで2027年に投入する。同社の事業領域であるブレーキや空力改善部品などを一体制御し、電費を2割ほど向上させる。eアクスルは複数の部品を統合する「Xin1化」が進むが、大半は充電回路や電圧変換器などeアクスル周辺の部品にとどまる。アイシンは駆動と直接的に関係がないブレーキや熱マネジメントシステム、ナビゲーションシステムなどを統合制御することでEVのエネルギー効率や走行性能を高め、競合他社にはない強みを目指す。

 27年に投入する第3世代のeアクスルではまず、モーターと減速機を組み合わせた円筒形の筐体(きょうたい)容積を従来から半減させる。小型化のカギを握るのは、同社がこれまで手がけてきた自動変速機(AT)で培ってきたギアの加工技術だ。耐久性が高く小型なギアは、モーターの小型化にも寄与する。このeアクスルにインバーターや冷却モジュール(複合部品)、電力変換器、統合制御システムなどを一体化したXin1も同年に投入する。モジュール化によって配線や配管を減らし、部品点数は30%、占有スペースは60%、質量は40%、それぞれ削減できるという。

 このXin1機に組み合わせる車両統合制御システムで、同社が手がけるブレーキやアクティブリアステアリング(ARS)などの運動系を統合制御する。これにより車両の「ピッチ(縦揺れ)」「ロール(横揺れ)」「ヨー(回転)」をきめ細かく制御し、走行性能や快適性を高める。また、EVならでは付加価値として「例えば内輪と外輪の駆動力の差によって、ハンドルに頼らずクルマを曲げることが可能になる」(担当者)という。空力改善部品や熱マネジメントシステム、ナビゲーションシステムなど、同社が手がける製品群との統合制御を広げていくことで、エネルギーを効率的に利用し、EVの電費も大きく改善できる。

 同社としては、幅広い既存製品群の制御技術をeアクスルに組み込むことで付加価値を高め、eアクスルの世界シェアを高めていく考えだ。