「健全な利益を出せる戦い方に変える」と話すニデックの永守重信会長

 ニデックは24日、電気自動車(EV)向け駆動用モーター事業の戦略を見直すと発表した。中国市場で駆動用モーターの価格競争が激化しており、事業収益が悪化しているため、出荷の中心を従来の中国から欧州や日本に移す。中国市場で価格競争の激化で不採算となっている機種に関しては受注を制限する。同時に、開発中のeアクスルへの研究開発投資を拡充して、収益性の高い製品を来年6月に実用化する。

 同社が注力しているEVの駆動用モーター事業は採算が悪化しているeアクスルの第1世代から第2世代に切り替えたことから、4~6月期に収益が改善した。しかし、中国ローカルのサプライヤーとの価格競争が激化し、第2四半期(7~9月期)の駆動用モーターを含む車載事業全体の営業利益は前期と比べてほぼ半減した。

 このため、駆動用モーターの中国戦略を見直す。中国での納入先は広州汽車グループや日系自動車メーカーの中国合弁会社向けといった採算が確保できるものに絞り込み、受注を制限する。また、納入先の認定を受けた上で、駆動用モーターシステムの部品についてコストの安い中国の現地調達に切り替えていく。

 駆動用モーター事業の納入先についても従来は、中国の自動車メーカー中心だったが、日米欧の先進国を中心に展開する。すでに日本の自動車メーカーが日本で生産するEV向けに受注した模様で、今後も納入先を拡大していく。

 現在開発中の第3世代のeアクスルは電源系の機能も取り込んだ「7イン1」のシステムとして来年6月に広州汽車向けに供給する予定。中国の半導体メーカーからインバーター用のパワー半導体を調達するなどして価格競争力を高める方針だ。

 競争力の高い駆動用モーターシステムを開発するため、今期は新たに150億円程度を研究開発投資を追加する。このため、今期のeアクスル事業は赤字となる見通し。永守重信会長は「価格競争では生き残れない。数量の考えは一掃する」と述べ、車載事業を収益重視に転換する方針を示した。