JDパワージャパン(山本浩二社長、東京都港区)が発表した「2023年日本自動車初期品質調査」によると、輸入車を含めた量販ブランドでダイハツとホンダが、上級ブランドでレクサスが1位になった。ダイハツは2年連続、ホンダは3年ぶりの首位となった。ただ、全ブランド平均で100台当たりの不具合の指摘数は151カ所と、22年調査に比べて13㌽増えた。特に、高機能化が進む「インフォテインメント」の不具合を訴える声が目立つ。前回調査でも最も多い項目であり、同社は「指摘数が増えており、改めて大きな課題であることが浮き彫りになった」としている。

 スコアは「外装」「走行性能」「装備品/コントロール/ディスプレイ」「運転支援」「インフォテインメント」「シート」「空調」「内装」「パワートレイン」の9カテゴリー・221項目の不具合指摘数を集計して算出した。スコアが少ないほど品質が高いことを示す。

 総合評価はダイハツとホンダのスコアが100台当たり131カ所で、対象の全14ブランドで最も不具合の指摘が少なかった。上級ブランド1位のレクサスは同147カ所だった。

 全体の平均スコアを悪化させた要因の一つとなるインフォテインメントは、同29・2カ所と、前年から4・4㌽増加した。その中でも、車載音声認識(前年比0・7㌽増の2・8カ所)や車載ナビゲーションシステム(同0・7㌽増の3・6カ所)の増加が目立った。車載音声認識では「音声コマンドを認識しない/誤った認識をする」と回答する割合が増加しており、同社は「実質性能は劣化している」と指摘した。

 車載ナビは年齢層が高くなるにつれて、不具合の声が増加した。「手順が複雑」や「ルートが一つしか示されない」などの意見が挙がっている。機能自体は進化しているものの、以前の機種に比べて使い勝手が大きく変わるものもあり、「以前よりも分かりにくい/使いにくい」という回答が増えたと考えられる。

 電気自動車(EV)に対しては、航続距離が短すぎるという指摘が軽自動車で5・3カ所、登録車が4・2カ所あった。航続距離では軽EVに不満を持つ割合が多かったが、充電の不具合では軽が0・7カ所、登録車が3・5カ所と逆転した。この結果を受けて、同社は「利用用途や運用環境次第では、充電トラブルの少ない軽EVの所有も利点の一つ」とみている。

 一方、先進運転支援システム(ADAS)関連の機能には品質改善の傾向が見られた。現行の調査項目になった21年以降、最も指摘の多い「車線逸脱ワーニング/レーンキープアシスト」で継続的に指摘数が減少しており、「業界全体で品質改善が認められる」と分析した。

 軽から中型までの車両セグメント別のランキングでは、全ブランドで首位のダイハツが軽セダン「ミライース」とコンパクトSUV「ロッキー」で1位になった。ホンダは軽ハイトワゴン「N―WGN(エヌ・ワゴン)」とコンパクトミニバン「フリード」でトップだった。

 調査は5~6月にかけてインターネットで実施し、2万1647人から回答を得た。新車購入後2~13カ月経過したユーザー(18歳以上)を対象に、自動車の初期品質に関する評価を明らかにした。今回が13回目となる。