ジャパンディスプレイ(JDI)は2日、2025年3月をめどに鳥取工場(鳥取市)の液晶パネル生産を終了すると発表した。主に車載ディスプレー用液晶パネルを生産しているが、ディスプレーの大型化や高性能化に対応しきれず、生産性も劣ることから操業を打ち切る。同工場は今後、車載事業の戦略拠点として活用する方針だ。
鳥取工場は、ガラス基板サイズが680×880ミリメートルの「第4世代生産ライン」を持つ。しかし、茂原工場の第6世代(ガラス基板サイズ1500×1850ミリメートル)などと比較すると生産性に劣る。また、第4世代アモルファス(非晶質)シリコン(a―si)パネルに対応するが、多結晶性のシリコンを低温で形成した低温ポリシリコン(LTPS)を用いた液晶パネルと比べると高性能化への対応が難しい。a―siパネルの需要も縮小しており、JDIの車載事業におけるa―siパネルの売上比率は23年度の約3割から24年度には約1割まで低下する見込みだ。
一方で、鳥取工場にあるオートテック事業部の設計開発や品質保証などの機能は残し、車載事業の拡大に向けた戦略拠点とする。同工場の従業員499人のうち、生産ラインに直接関わる120人は他拠点へ配置転換し、液晶パネル設計などに携わる従業員は残る。JDIは「鳥取工場の方々は車載製品に長く携わっている人が多く、ノウハウも代えがたいため、戦略拠点と位置づけて鳥取工場を活用する」とする。
24年3月期業績への影響は軽微とするが、25年3月期に関連費用を計上する見込みだ。JDIは鳥取工場のほか、茂原工場(千葉県茂原市)と石川工場(石川県川北町)を国内に持つ。
鳥取県の平井伸治知事は「鳥取の戦略的な拠点性を発揮できるよう未来志向での検討を強く求めたい」、鳥取市の深澤義彦市長も「雇用の維持及び事業の継続・発展に向けた取り組みに対し、県と連携しながら最大限の支援を行っていく」とそれぞれコメントした。