パナソニックホールディングスとソニーグループの有機EL事業を統合して発足したJOLED(石橋義社長、東京都千代田区)は27日、東京地方裁判所に民事再生手続きを申請した。負債総額は約337億円。今後、有機ELディスプレーの製造と販売から撤退し、ジャパンディスプレイ(JDI)による支援のもとで技術開発事業の再建を目指す。

 JOLEDは、パナソニックとソニーの有機ELディスプレーの開発部門を統合し、2015年に設立された。パソコンや車載向けに有機ELディスプレーを生産してきたが、近年は韓国メーカーの台頭やコロナ禍での半導体不足、ディスプレー市況の低迷などによって業績が悪化。15年3月期から最終赤字が続き、22年3月期末時点で債務超過に陥っていた。

 今後はJDIによる支援のもと、有機ELディスプレーの開発を続ける。一方、製造・販売事業に関しては「早期かつ抜本的な収益改善の道筋がたっておらず、同事業をこれ以上継続することは困難」(同社)として撤退を決めた。能美事業所(石川県能美市)と千葉事業所(千葉県茂原市)は閉鎖し、従業員約380人のうち、製造部門などの約280人は順次、解雇する方針だ。

 JOLEDには、官民ファンド「INCJ(旧産業革新機構)」が総額約1390億円を投じ、量産化を支援してきた。量産ラインを立ち上げるため、18年にはデンソーや豊田通商、住友化学などからの出資も受けている。

 サムスン電子やLGディスプレーが圧倒的なシェアを握るディスプレー市場では日本メーカーの競争力低下が著しく、JOLEDの再建を担うJDIもファンド傘下で経営再建を急いでいる。