いすゞ自動車は14日、ロシア事業を手がける子会社「いすゞルス」の株式を現地自動車メーカーのソラーズに12日付で譲渡したと発表した。いすゞルス(ウリヤノフスク州)は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、2022年3月から操業を停止していた。事業譲渡に伴う業績への影響は、5月に開示した2024年3月期の連結業績予想に織り込み済みという。

 いすゞはこれまで、ロシア事業について「現地パートナーと協議中」としていた。今回、「不透明な事業環境が続き、操業の再開が見通せないことから事業譲渡を決定した」と説明した。「お客さまへのアフターセールスの継続と従業員の雇用維持を最大限考慮し、慎重に進めてきた」ともコメントしている。

 いすゞは07年8月にロシアに拠点を開設し、現地で生産・販売およびサービスを行ってきた。いすゞルスは、譲渡前はいすゞが74%、大手商社の双日が26%それぞれ出資していたが、全株式をソラーズに売却する。譲渡額は明らかにしていない。従業員は6月末時点で211人在籍していた。いすゞによると、譲渡先でも雇用が維持される見通しという。

 ロシアの直近の生産・販売実績は、21年に3700台を生産し、4100台を販売していた。

 ロシア事業をめぐっては、現地に進出する日本や欧米の自動車メーカー各社が、相次いで撤退や操業停止に追い込まれている。すでにトヨタ自動車、日産自動車、マツダが撤退し、スズキやスバル、日野自動車などは輸出を見合わせている。