日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは5月30日、経営統合に向けて基本合意したと発表した。両社の親会社であるトヨタ自動車とダイムラートラックが持ち株会社を新設し、2社を傘下に入れる。持ち株会社は日本での上場を予定する。開発や調達、生産領域で協業するとともに、トヨタとダイムラートラックは水素をはじめとする商用車向けの次世代技術開発でも協業する。2024年末までの統合完了を目指す。

持ち株会社の出資比率は同割合にする予定。具体的な出資比率や協業内容は4社で検討する。持ち株会社は、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場への上場を予定している。これに伴い日野はトヨタの連結子会社から外れる見通し。日野と三菱ふそうのブランドは維持する。

日野は2022年3月に発覚したエンジンの認証不正の影響で経営が悪化。その後、8月には国内商用車連合のコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT、中嶋裕樹社長、東京都文京区)から除名された。今年3月にはフォルクスワーゲングループの商用車部門であるトレイトンとの電動パワートレインなどでの協業関係も終了しており、電動化やカーボンニュートラルに向けた新たな協業先が課題だった。

マークラインズによると、日野と三菱ふそうの世界販売はそれぞれ13万台、5万台(2021年実績)。また、業界筋がまとめた21年の普通トラックの国内販売台数で両社のシェア合計は5割強となり、UDトラックスを含めたいすゞ自動車グループと同規模の販売ボリュームになる見込みだ。電動化対応などで開発コストが増加する中、統合により開発、生産、調達で協業し、スケールメリットを生かす。

一方、トヨタは、いすゞとも資本提携しており、商用車メーカーとの連携関係を広げている。トヨタの佐藤恒治社長は「自動車産業が向かい合っていく未来は1社でできるものではない」と述べ、協業拡大で商用車のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を進めていく考えを述べた。ダイムラートラックのマーティン・ダウム最高経営責任者(CEO)は「商用車だけではなく、鉱山や建設分野でも強みがある。水素の開発も促進できる」と協業効果に期待感を示した。