日産自動車は11日、2024年3月期の営業利益が前年度比37.9%増の5200億円になりそうだと発表した。インフレの影響などによる製造コストの増加や円高が利益を押し下げるものの、生産台数の回復や商品価格の改定などで増益を見込む。売上高は過去最高となる見通しだ。

 24年3月期の生産台数は同21.3%増の410万台を見込む。生産の回復に伴って、販売台数も同21.0%増の400万台に戻る見通しだ。為替は1ドル=130円と前年度より6円円高に設定したことで850億円の営業減益要因となるが、台数の回復や車種ミックスの改善、価格改定効果などが4500億円分の増益要因となる。

 日産は過去の過剰な生産投資などで20年3月期、21年3月期と2期連続で赤字となった。4カ年中期経営計画「ニッサンネクスト」で固定費の圧縮や新型車投入の積極化による台当たり単価の向上に取り組み収益基盤を改善、22年3月期に黒字に転換した。

 23年3月期も販売台数が同14.7%減の330万5千台と落ち込んだにも関わらず、利益の上積みを実現した。内田誠社長は「就任以来、『日産の力はこんなものじゃない』と言ってきたが、従業員の努力とサプライヤーや販売会社のおかげで会社の体質はかなり良くなってきた」と中計の進捗を評価した。

 ただ、ニッサンネクストの最終年度に当たる24年3月期の営業利益率の見通しは4.2%と同中計で掲げる5%の目標には達していない。中国事業の低迷も課題になっており、今秋策定する次期中計で対策を示す方針だ。