満を持して投入する商用EVのプラットフォーム「SOA」
電池の床下配置で広くフラットな床面を確保

 「ロンドンタクシー」などを生産する浙江吉利控股集団(ジーリーホールディングス)の子会社、ロンドン・エレクトリック・ビークル・カンパニー(LEVC)は、旅客・貨物輸送車両向けのバッテリー電気自動車(BEV)用プラットフォームを、吉利と共同開発したと発表した。全長は最大6メートル弱、バッテリーを車体中央下部に配置してフラットで広い床面を実現し、座席や荷室レイアウトの自由度を高めた。吉利グループ以外の自動車メーカーにも供給する方針で、695キロメートルの最大航続距離や、超高速充電など車両稼働率を高める仕様も実現して、商用車のEV化ニーズの幅広い吸収を目指す。

 LEVCは新プラットフォーム「スペース・オリエンテッド・アーキテクチャー(SOA)」を、環境対応の一環としてゼロエミッション車の拡充を急ぐ旅客・貨物車両メーカーに売り込む。これを足がかりとして、タクシー車両製造にとどまってきた業態を、EV用プラットフォームの供給に広げて、電動商用車分野での優位性確立につなげる。

 SOAは、吉利グループの中国、スウェーデン、英国、ドイツの研究開発センターが連携し、2年半をかけて実用化にめどをつけた。全長4860~5995×全幅1954~1998×ホイールベース3000~3800ミリメートルの車体サイズに対応する。広大でフラットな床面は座席・荷室レイアウトの柔軟性に加えて、乗降性の向上にも有利とする。後輪レイアウトを工夫して、リア・オーバーハングへの荷室設置を可能にした。

 車室内レイアウトの自由度を衝突安全性能にも生かし、欧州「ユーロNCAP」および中国「C―NCAP」の最高基準「5ツ星」の達成にめどをつけた。バッテリー容量は73~120キロワット時を選択できる。

 合わせて自動運転「レベル2~4」やデジタルコックピット、無線によるソフトウエア更新「オーバー・ジ・エア(OTA)」など先端技術を盛り込み、安全性や快適性を高める。

 LEVCのアレックス・ナンCEOは「SOAは、当社が新たに掲げた『ゼロカーボンモビリティプロバイダーのリーディング企業』になるための先進プラットフォームだ。高級タクシーメーカーから新しい分野に進出し、(100年以上もつくり続けてきた)ロンドンタクシーの〝遺産〟を基に、先進的なゼロエミッション輸送をこれまで以上に多くのお客さまに提供していく」と抱負を語った。