JAFが行った実験の様子

 日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)が実施した「子どもの車内事故に関するアンケート調査」で、全体の54・9%が「(時間の長さに関わらず)子どもを車内に残してクルマから離れたことが『ある』」と回答したことが分かった。JAFの実験では春や初夏でも駐車車両の車内温度が高温になることを確認しており、比較的過ごしやすい5月の大型連休中の車移動に際しても「子どもと離れないよう」ドライバーへの注意を呼び掛けている。

 子どもを車内に残して車を離れる理由は、「用事(買い物や兄弟の送迎など)を終えてすぐに(5分以内)車に戻ることができるため」が54・8%で最も多かった。次いで「子どもが寝てしまい、起こさないため」が19・3%、「子どもの希望(降りるのを嫌がるなど)」が12・6%で続いた。1・5%(2件)と少数ではあるものの、「子どもが乗っていることをつい忘れてしまった」という回答もあった。

 JAFが春のタイミングから子どもの車内事故に警鐘を鳴らすのは、体が暑さに順応する「暑熱順化」ができていないからだ。通常は真夏に向けて暑さに慣れることで、暑熱順化が進み、汗の量が増えるとともに気化熱や身体の表面から熱を逃がしやすくなり、暑さに強くなっていく。そのため、暑さに対して体がうまく機能しない春や初夏のタイミングで、高温にさらされると熱中症になる危険性が高まることになる。

 JAFの実験では外気温が23・3~24・4度の日中で、SUVの車内温度が最高46・5度まで上昇した。JAFは「密閉された車内は思いがけず高温となることがある」とし、「少しくらいだから、ぐっすり寝ているから、という子どものためを思った行動は、逆に危険にさらしかねない。油断せず、子どもを残してクルマから離れることは絶対にやめましょう」と、子どもの車内事故防止に強いメッセージを発信している。

 アンケート調査は2022年12月13日~23年1月12日までの1カ月間実施した。有効回答数は692件で、調査対象の12歳以下の子どもを持つ回答者は246人だった。