デンソーテン(加藤之啓社長、神戸市兵庫区)は、ワイヤーハーネスを無線通信に置き換え、通信の不調時には電力線通信(PLC)でバックアップする「車載ワイヤーハーネスレス統合システム」を開発した。ヘッドランプやワイパーなどのボディ系ワイヤーハーネスを対象に、車両への搭載が想定される位置で性能を評価し、有効性を確認した。軽量化や設計・製造コストの削減につながるとして実用化を目指す。

 総務省「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の一環として、神戸大学、国際電気通信基礎技術研究所と共同開発した。車両内の無線通信は、電波干渉による通信速度の低下や途絶などが起きやすく、通信の信頼性を確保する必要がある。同社らは、電波干渉に強い無線通信方式であるUWB(超広帯域無線システム)を使い、無線通信アルゴリズム(計算手順)を独自開発した。また、正しく通信できなかった場合に有線通信でバックアップする冗長システムを構成。バックアップはPLC方式で既存の電源線を有効活用する。

 従来のワイヤーハーネスを置き換えることで、軽量化による走行時の二酸化炭素(CO2)排出削減や、ワイヤーハーネス取り回しのための設計工数の削減、工場での組み立てなどにかかるコストの削減などが見込める。今後は、自動車のほか、航空機や船舶など、さまざまなモビリティへの応用も視野に開発を続ける考えだ。