自動車部品や用品を手掛ける企業が出展した
ブレンボ・ジャパンの「グリーナンスキットコンセプト」
栄和産業の「シェーン」(中央)
小林総研の非常用信号灯
阿部商会のバイオマス原料を活用したビニールシート

 SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、自動車用品や補修部品の分野でも環境負荷の軽減に取り組む動きが加速している。自動車アフターマーケットの見本市「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2023」(会期=7~9日)でも、環境に配慮した製品やサービスを提案する出展社が目立った。各社は環境対応の品ぞろえを早期に増やしていくことで、市場やユーザーからの支持を獲得する狙いだ。

 製品に使用する素材を見直したのは、フロアマットを手掛ける栄和産業(三浦洋樹代表、大阪府豊中市)。IAAEで展示した「シェーン」には同社として初めて、海洋プラスチックやペットボトルなどを再生した原料を使用した。独自のノウハウで従来品と同等の質感を実現。三浦代表は「シェーンを通じて、ゴミの削減につなげるサイクルを生み出したい」と、普及に取り組む考えだ。

 販売促進ツールなどの阿部商会(阿部晃則社長、東京都足立区)も植物由来のバイオマス原材料を25%配合した内装保護用ビニールシートを出品。石油由来の資源の節約につながる利点などを紹介していた。

 素材だけでなく、製品の構造を変化させ、環境性能を高める動きもある。ブレンボ・ジャパン(ファビオ・カサブランカ代表取締役、東京都港区)は、ブレーキシステム「グリーナンスキットコンセプト」を出展した。長距離を走行する商用車を想定して開発。ブレーキパッドの摩擦材やディスクローターの接地部の仕様を見直し、制動時に生じる粒子状物質(PM)などの排出量を削減する。また、ディスクローターの耐摩耗性能も向上させ、環境性能と整備コストの低減の両立を目指す。

 また、製品そのものを置き換える提案を行うところもある。小林総研(黒田孝代表、埼玉県川口市)は、事故発生時に使用する発煙灯の代わりとなる非常用信号灯を紹介した。電池交換式のため、長期間の使用が可能。従来の発煙筒は使用有効期間が過ぎると未使用でも廃棄する必要があり、信号灯とすればゴミの削減につながる。製品自体も乾電池の自然放電を抑制する独自技術により、約20時間連続で使用することができる。担当者によれば、自動車メーカーなどからも注目を集めており、特に海外からの関心が高いという。

 今回のIAAEでは、前回を上回る264社・団体が出展した。展示会の規模が大きければ来場者も多くなり、自社の取り組みもアピールしやすくなる。社会課題の解決につながる製品やサービスは今後のIAAEでも重要なテーマとなっていきそうだ。

(後藤弘毅、諸岡俊彦)