名古屋大学は、同大発ベンチャーのミサリオとの共同開発で、温めると縮む新材料「ピロリン酸亜鉛マグネシウム」の微粒子化に成功したと発表した。「パイロアジャスター」として、粒径1マイクロメートル級の量産品の試験供給を始める。パワー半導体のヒートシンク用接着剤や、3次元ICの層間樹脂フィルムなど、電子デバイスの熱膨張を制御する材料としての利用を見込む。

 微細化や複雑化が進む電子デバイス分野では、異なる材料間の熱膨張差が問題となっており、樹脂フィルムや接着剤、基板など微小な部材で熱膨張を制御する必要がある。ピロリン酸亜鉛マグネシウムは、室温域を中心に広い温度範囲で熱膨張を抑制できる。同大の竹中康司教授は「(さらに小さい)サブミクロンクラスも半年後くらいには試験供給できればと考えている」と語った。