トヨタ自動車系大手部品メーカー7社が3日に発表した2022年4~12月期の連結業績は、円安影響などで全社の売上高が過去最高を更新した。車両生産の回復や原材料高騰分の転嫁も進み、4社が営業増益だ。一方で通期業績見通しでは、車両生産台数が想定に届かない可能性が出てきたため5社が下方修正した。各社は来期も引き続き、合理化と変動対応力の強化に取り組む考えだ。
増収は円安効果が大きい。対ドルレートは前年比で約25円の円安だった。また、車両生産は各社が想定する水準には届かないが前年比では回復しており、これも増収につながった。
営業利益面では、コスト上昇分の転嫁が進みつつある。営業利益が過去最高となったデンソーの松井靖経営役員は「若干来期にずれ込むが、ほぼ(価格転嫁が)正しく反映されて手応えを感じている」と語った。ただ、アイシンの伊藤慎太郎副社長は「先行して(仕入先から購入)価格を上げる形になっているケースもある」と期ずれの影響も指摘する。このため各社の収益回復度合いはまだら模様だ。
通期見通しは下方修正が相次いだ。売上高と全利益項目を下方修正したデンソーは、対ドル、元に対する想定レートを前回公表値から円高方向に見直した。自動車メーカーの減産影響も「年初予想の12%下振れから、足元の状況から精査して2%さらに下振れする」(松井経営役員)リスクを織り込んだ。豊田合成の斉藤克己執行役員は「中国と米国は第2四半期までは堅調だったが、第3四半期以降は当初より下振れする」と予想した。
期末から来期にかけてはトヨタの増産に向けた準備も進める。ジェイテクトの神谷和幸CFO(最高財務責任者)は「生産変動の経験を踏まえて、工場間の生産応援など柔軟な体制ができるようになってきた」と話す。アイシンの伊藤副社長は「昨年秋口から〝構え〟を小さめにし、増えたところで対応していく考え方に変えた」と語る。各社は、下振れリスクも見据え、利益を確保しようと知恵を絞る。