トヨタ自動車は1月16日、2023年の世界生産台数を最大で1060万台とする計画を発表した。仕入れ先の部品メーカーに対して年初に示す「基準値」として1060万台を上限とし、半導体不足など先行き不透明なリスクも織り込み1割程度下振れする可能性も示した。リスクを踏まえ幅を持たせた生産計画を共有することで、変動による影響を低減する狙いだ。

22年の世界生産は11月までの実績と12月の計画を合わせ約907万台となる見通し。世界的に新車需要は旺盛であり、特に国内では受注残を多く抱えていることから、23年の生産台数は前年から最大で150万台以上積み増す方針だ。1060万台という数字の根拠について、オンライン取材に応じた伊村隆博生産本部長は「当社の設備能力だけでなく、部品供給、工場要員、稼働の実力に加え営業や販売の努力、調達での供給安定化なども含め、身の丈を踏まえて確認した」と言う。

一方、昨年は半導体不足や中国のロックダウン(都市封鎖)などの影響で急な生産変動がたびたび発生し、仕入れ先への負担が大きくなっていた。こうした状況を踏まえ、今年の計画は1割程度下振れするリスクも示した格好だ。熊倉和生調達本部長は「現時点において1年先を見通すことは難しい」と言い、部品メーカーと生産変動時の対応について綿密に連携を進めて、下振れリスクを最小限にする考えだ。

トヨタは業績に関係する決算年度の生産計画は発表しているが、仕入れ先に伝える計画台数はこれまで公表していなかった。長田准執行役員は「昨年は生産変動でサプライヤーに大変迷惑をかけた。そこに後から報道を通じて『どうなんだ』という側面もあった。きちんと数字を示し、調達部門とサプライヤーで議論していきたい」と話す。