トヨタ自動車が1日発表した2022年4~9月期決算(国際会計基準、IFRS)は、売上高に相当する営業収益が前年同期比14・4%増の17兆7093億円だった。歴史的な円安の影響で増収だった一方、営業利益は原材料やエネルギー費の高騰で同34・7%減の1兆1414億円だった。通期見通しは、生産台数を期初計画から50万台引き下げて920万台としたが、円安で売上高を前回見通しから1兆5千億円増やして36兆円とした。ただ、営業利益は販売減や原材料高騰の影響を考慮して据え置いた。

 近健太副社長は会見で「(弊社を)取り巻く環境はこの半年で急激に変化している」と足元の認識を示した。その中で過去最高水準の生産台数を維持しているのは「トヨタ全体の競争力を示すものだ」と語った。

 4~9月期の営業利益は円安による為替差益が5650億円、原価改善効果で1150億円の上乗せがあったものの、資材高騰影響も7650億円あった。ロシア事業終了に伴う減益分も969億円を計上した。

 連結販売台数は415万9千台(同1・6%増)となり、先進国で生産制約はあったものの、アジア地域などがコロナ禍からの回復基調で増加に転じた。

 通期業績見通しは、為替レートを期初の1㌦=130円から5円円安の135円とし、円安のプラス効果で売上高は過去最高を更新する見通しだ。ただ、営業利益は為替変動による2200億円の利益押し上げ分を販売減や原材料高騰、ロシア事業終了の影響などで相殺し、期初に示した2兆4千億円を据え置く。

 生産台数見通しは、期初に掲げた970万台からは半導体不足の調達リスクを踏まえて下方修正した。ただ、修正後も過去最高となった17年3月期の907万台を上回る水準だ。熊倉和生調達本部本部長は半導体不足に対し「今まで以上にリスクの部品の〝見える化〟を図る」と対策を語った。

 半導体不足に加え、米国や中国などの景気減速による需要減も懸念されている。長田准執行役員は「米国、欧州、日本の3地域はこれまで供給制約を受けたので、市場としては今後上がっていく。中国については22年並みとなるのではないか」と予想した。