日本で先端半導体の受託製造会社となることを目指してトヨタ自動車やソニーグループなどが出資して設立したラピダスは13日、IBMと先端半導体を製造する技術を共同開発するためのパートナーシップを締結したと発表した。両社が協力して回路線幅が2ナノメートル(1ナノ=10億分の1メートル)の先端半導体を短いリードタイムで量産する技術を確立し、ラピダスが日本国内で製造することを目指す。

 IBMは2021年に世界初となる2ナノメートルノードのチップの試作品の開発に成功した。2ナノメートルノードは現在、最も先進的な7ナノメートルチップと比べてパフォーマンスを45%向上し、電力消費量を75%低減できる。

 ラピダスはIBMの半導体量産技術に関する技術のライセンス供与を受ける。また、ラピダスの研究者やエンジニアを、IBMが主導する米国ニューヨーク州にある半導体研究拠点「アルバニー・ナノテック・コンプレックス」に派遣、先端半導体の量産技術を習得し、日本で20年代後半に2ナノメートルノードチップの量産を目指す。

 グローバルでの先端半導体の製造地域が台湾など、地政学的リスクの高いエリアに集中していることから、IBMはラピダスで先端半導体の受託製造会社として活用してリスク分散を図る。

 都内での記者会見でIBMのシニア・バイス・プレジデントを務めるダリオ・ギル氏は、「(ラピダスとの)協業は地理的にバランスの取れた先端ロジック半導体のグローバルサプライチェーンを確保するのに重要」と述べた。

 また、ラピダス・小池淳義社長は「(IBMとの協業によって2ナノメートルを)習得して自分のものにし、早くつくる製造技術を提供していく」としている。