車載用リチウムイオン電池の需要は拡大の一途を辿る

 三菱マテリアルとエンビプロ・ホールディングス(HD)は2日、廃車などから発生するリチウムイオン電池のリサイクル技術を共同開発すると発表した。電池を解体、破砕するなどし、残ったリチウムとコバルト、ニッケルが含まれる濃縮物であるブラックマスを回収、製錬する技術の開発に着手。希少金属(レアメタル)を効率的に回収するプロセスを確立し、2025年度中の事業化を目指す。

 両社は、エンビプロHDの子会社で電池リサイクル事業を手掛けるVOLTA(今井健太社長、静岡県富士市)と共同で、ブラックマスからレアメタルを製錬する湿式製錬技術の開発に取り組む。まずは回収プロセスを確立する。その後、パイロットプラントでの実証実験を始める計画で、試作サンプルの製造を行う。事業開始は25年度中を予定している。

 三菱マテリアルグループの銅精錬所近郊での事業実施を予定しており、年間数千㌧のブラックマスを処理する。炭酸リチウム、硫酸ニッケル、硫酸コバルトを製造する予定で、将来的には他のレアメタルの回収も検討する。電池処理から電池材料の安定供給まで一貫したリサイクルシステムを構築する計画だ。

 リチウムイオン電池を巡っては、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車の普及に伴って、今後も大きな需要拡大が見込まれている。一方、原材料であるリチウムやコバルト、ニッケルなどのレアメタルは将来的に供給不足が懸念されており、リチウムイオン電池でも、廃棄品から原材料を回収し、再利用するクローズドループリサイクルの重要性が高まっている。