日産自動車は9日、2023年3月期の営業利益が前回予想(今年7月)より1100億円多い3600億円になりそうだと発表した。生産制約の長期化で通期の販売計画は370万台へと30万台ほど減らすが、為替レートを円安方向に見直したことで売上高と営業利益、当期純利益が上振れする。

 通期の為替レートを1㌦=120円から135円に、1 ユーロ =130円から137円に修正した。これによる為替差益が前回予想比で1250億円の増益要因となる。原材料価格の高騰影響(350億円)、物流費(350億円)の減益要因を打ち消して増益となる見通し。ただ、当期純利益は、ロシアからの撤退に伴う1千億円の特別損失を計上するため、上方修正幅は50億円にとどまる。

 4~9月の営業利益は1566億円(前年同期比12.6%増)だった。販売台数は156万9千台(同21.6%減)と生産制約の影響で落ち込み、原材料の高騰影響も受けたが、円安による為替差益などで増収増益を確保した。7~9月期(3カ月間)の自動車事業におけるフリーキャッシュフローは2066億円のプラスに転じた。

 内田誠社長は、出資比率などをめぐるルノーとの協議について「どのようなアライアンスの姿が各社により大きなベネフィット(利益)をもたらすかをオープンで建設的に議論している」と語った。ルノーから出資を要請されている電気自動車(EV)新会社については「日産にとってのメリットや、どのように参画するべきかに関する今後の議論を踏まえ、新会社への出資を検討する」と語り、改めて説明する機会を設ける意向も示した。