京セラは11日、白色光と近赤外光を一体化したヘッドライトを搭載する「車載ナイトビジョンシステム」を開発したと発表した。夜間や霧など、視界の悪い環境下で、道路上の物体を高精度に検出するシステム。安全性の向上や自動運転車のセンシングデバイスとしても実用化を見込んでおり、2025年に量産技術を確立、27年に実用化する計画だ。

 白色光と近赤外光を一つの素子に組み込んだヘッドライトは米国子会社で自動車用ヘッドライトを手がける京セラSLDレーザーが開発した高輝度、高効率、小型のGaN(窒化ガリウム)製白色光レーザーによって実現した。ヘッドライトで照射された物体を、車両搭載したRGB―IRセンサー(可視光と近赤外光センサ)が撮影する。画像データはフュージョン認識AI(人工知能)技術によって、可視光画像、近赤外光画像の両方から信頼性の高い領域を組み合わせて判断、高精度に物体を検出できるとしている。

 また、物体を検出するAIは、可視光の学習用画像から近赤外光の学習用画像を自動生成する学習データ生成AI技術を確立した。これによってAIが学習するためのデータを収集するためのコスト削減と期間を短縮できる。

 システムを活用して警告すれば、夜間の安全性の向上に寄与するほか、自動運転車で車両周辺の状況を検知するセンサーとして機能することも想定している。