古河電気工業は22日、パワー半導体の無酸素銅の板厚精度を向上する技術を開発したと発表した。無酸素銅は、セラミック基板の耐熱性向上を目的に両面に貼り付ける。今回、独自の生産技術で、板厚のばらつきを従来比で半分ほどに抑え、品質を向上する技術を開発した。パワー半導体は、電気自動車(EV)のインバーターなどに使用するため、需要の増加が見込まれている。新技術を活用してパワー半導体向け無酸素銅の生産量を増やす計画だ。

 セラミック基板の両面に貼る無酸素銅は、板厚にばらつきがあると熱膨張による歪みが発生した際、セラミックスにクラックが発生しやすくなる。板厚の均一さがパワー半導体の品質に大きく影響する。

 今回、ロールの回転で展伸、圧延する無酸素銅を、X線を利用して板厚をリアルタイムに監視、調整する生産設備を独自に開発した。従来、無酸素銅の板厚のばらつきは、偏差14㍈だったものの、新技術の導入で6㍈に抑えたとしている。

 パワー半導体はEV市場の拡大で需要が増加しており、今後も右肩上がりで伸びる見通し。同社はパワー半導体向けの需要拡大が見込まれる無酸素銅の製造に、新技術を適用して生産量を増やす。22年度に同社が提供する無酸素銅「GOFC」の生産量を、20年度実績比約2倍の50㌧以上にする方針だ。