東レは空気電池用イオン伝導ポリマー膜の開発に成功したと発表した。次世代の「革新型電池」として期待されるリチウム空気電池のセパレーターに適用することで、電気自動車(EV)の航続距離延長につながる可能性があるという。

 リチウム空気電池は理論上、リチウムイオン電池と比べて10倍以上の重量エネルギー密度を持つ。現行の微多孔セパレーターでは、電解液の混合による寿命の低下と、充電時で生まれるリチウムデンドライト(樹枝状結晶)による短絡が課題となっている。

 同社は独自の高耐熱アラミドポリマーの分子設計技術を生かし、イオンを通過する無孔のポリマー膜を開発した。社内試験では液の混合はなく、50回以上の充放電でも安定作動したという。

 今後はリチウム空気電池に加え、リチウム硫黄電池用のセパレーターや全固体電池の固体電解質への活用も視野に入れる。同社フィルム研究所の長田俊一所長は「革新型電池向けの製品をはじめニーズを先取りして(電池メーカーなどに)提案したい」としており、高付加価値製品の開発を目指す。