トヨタ自動車は2日、水素を持ち運びできるポータブルカートリッジの試作機を開発したと発表した。汎用性を持たせ、水素エネルギーをさまざまな用途で活用できるようにする。静岡県裾野市で建設を進める実証都市「ウーブン・シティ」などに導入し、実用化に向けた検討を行う。現在、水素エネルギーは産業用の利用にとどまるが、手軽に持ち運びが可能なカートリッジを運用することで生活圏内での水素活用を模索する。

 子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスと共同開発した。水素カートリッジのサイズは直径約18㌢㍍、全長は40㌢㍍で重さは約5㌔㌘を想定する。さまざまな用途での活用を目指し、汎用性が高く交換が容易にできるようにする。カートリッジ1本当たりの容量は、燃料電池(FC)システムで発電した場合、家庭用電子レンジを3~4時間運転できる量を想定しているという。

 トヨタはENEOS(エネオス)と共同で製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しないグリーン水素を供給するステーションをウーブン・シティ近隣に開設することを計画しており、実証都市のエネルギー源として水素の利用を促進する。水素カートリッジは高圧水素タンクを前提に開発し、実証を通じて改善を進めていく。

 トヨタが開発中の水素エンジン車で参戦するスーパー耐久シリーズの第2戦が開催される富士スピードウェイで3~5日の間、水素カートリッジのプロトタイプの展示を行う。