日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)が28日に発表した2021年度の自動車輸出台数は前年度比0・4%増の368万4025台となり、3年ぶりにプラスに転じた。20年度にコロナ禍で低迷した東南アジア向けのトラック輸出が回復したことで増加した。ただ、乗用車輸出は半導体不足の影響などによる生産台数の減少で前年水準を下回った。3月の輸出台数合計は新型コロナウイルスの再流行による中国からの部品供給停滞や宮城・福島沖地震の発生でサプライチェーンの混乱がさらに広がったほか、ロシア向け輸出を各社が相次いで停止したことなどで2割近く減少した。

 21年度の乗用車の輸出台数は同3・2%減の322万4519台。中国向けが同18・7%減の23万8442台、ドイツ向けが同32・6%減の5万5595台、米国向けが同6・3%減の125万4619台と、輸出台数が多い仕向け地がいずれも大幅に減少した。27日に乗用車メーカー8社が発表した21年度の国内生産台数は同6・8%減の709万3641台と、サプライチェーンの混乱による部品供給不足の影響で減少しており、車両生産の遅れが輸出台数にも響いた格好だ。

 一方、トラックの輸出は同39・7%増の38万4446台となり、6年ぶりに増加した。過去5年で最も多い水準となる。けん引したのはトラックの仕向け地で最も多いアジア地域だ。インドネシアはコロナ禍からの反動増や資源関連の需要拡大で前年度の約3・5倍に当たる1万7453台に回復。マレーシアも同59・9%増の1万4355台となった。

 3月の輸出台数合計は同18・8%減の32万1457台だった。トラックは同3・5%増とプラス域だったものの、乗用車は同22・0%減と大幅に減少した。乗用車の米国向けは同27・1%減、中国向けは同30・5%減となったほか、3月上旬から順次自動車メーカー各社が輸出を停止したロシア向けは同42・1%減の5747台となった。

 自工会が同日発表した2月の商用車を含む国内生産台数は同1・6%減の69万3704台で7カ月連続で減少した。