欧州の電動車ラインアップ

 日産自動車は23日、欧州向けの乗用車用内燃機関への投資を終了すると発表した。20年代半ばにも欧州で適用される新たな排ガス規制「ユーロ7」への対応が難しいと判断したため。内燃機関にかける投資を電動車に振り向けて、30年までにハイブリッド車(HV)を含む欧州の電動車比率を100%にする方針だ。

 2月に開いた決算説明会でアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)が「ユーロ7が適用されると、ユーザーはガソリン車にさらに高いコストを支払わなければいけなくなる」と述べ、欧州向けの内燃機関の開発を凍結する方針を明らかにしていた。

 二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)などを対象とする欧州の排ガス規制は現行のユーロ6で大幅に厳格化され、規制導入を契機に日本のメーカーが相次いで欧州向けディーゼル車の販売から撤退した。ユーロ7では新たにアンモニア(NH3)など対象物質が追加されるなどさらに厳しくなる見通しで、規制対応のための追加デバイスが必要となる可能性が高い。日産は商用車でも段階的に電動化を進めて30年に販売する新車の全てを電動化する。

 地域や国の方針に応じてパワートレインを絞り込む戦略は広がっており、欧州ではホンダが22年までに全てHVを含めた電動車に切り替える方針を表明済み。三菱自動車は3月中旬、政府が電動車の普及を促進するタイで24年から内燃機関のみで走行する乗用車の取り扱いを停止する方針を明らかにした。